おいおい、てめぇは本当に間の悪い奴だな。見ての通り、俺はいま人を燃やしてる。しかも彼女をな。こんな時に来るんじゃねぇよ。相変わらず不潔な顔しやがって。にしてもブスほど良く笑うよな。
 なぁ見ろよ。こいつ良く燃えてるだろ? たまに思い出す。幼稚園の頃さ、家族で焼き芋をしたんだ。うまかった。それだけだ。芋はうまい。なぁ、人生はどうしてこうも反射的なんだろうな? ゾクゾクするぜ。
 あぁ、愛ってもんは悲しいぜ。なぁ見てみろよこいつの顔。焼け焦げて可愛い顔が台無しだ。そう、これが限りない愛ってもんだと思うぜ。
 愛の頂点は何か知ってるか? あぁ、焦げクセェ。キス? セックス? 結婚? 抜かせこのブス。いい加減俺が彼女を焼き殺している理由に気づいてくれ。それが答えだ。
 人を好きになると愛ってもんが生まれる。で、その愛ってのは何なんだ? なぁ、愛の正体をお前は知ってるか? 分からねぇだろ? あぁ、そろそろハッキリ言おう。
 愛の正体は殺意だ。愛の頂点は死だ。
 ……さて。そろそろ良いだろう。水をかけるぞ。こうやってバケツの水を……ばしゃーん! ははっ。消えねぇ。おい、お前も手伝え……。
 ……よし消えたな。焼死体の完成だ。そそるだろ? あんなに可愛い女がこんな……こんな……ははっ。オーケー大丈夫。俺はいつだって正常だ。クソはトイレに。ゲロもトイレに。あぁ、間違いねぇ。俺はクソを一人で正しい場所に出来る有能な人間だ。
 あぁ、そうだ。お前に一つ良い事を教えてやる。愛や恋は人を強くする。それは絶対的事実だ。ただ、弱くもする。
 だから俺は大好きな彼女を焼き殺した。どうしてって? 理由なんて特に無いよ。ただなんとなく、別の男に取られる前に殺そうと思っただけだよ。
 逮捕? そりゃされるだろ。ここはカラカスか? 違うんだな。でもさ、別に良いんだよ。俺はコイツと倦怠期になるとかそういう話以前に、自分という人間と人生に対して倦怠期を覚えるようになってたんだ。まぁ頑張って逃げるけどな。お前との時間を伸ばすために。
 これで良かったと思う。俺はもうコイツに笑ってほしくなかった。愛も恋も、これ以上何も知らずに死んで欲しかったんだ。だってコイツは俺のオモチャだから。そう思う事が俺にとって最大の愛だった。あるいは愛せなかった。
 さて、と……。俺の彼女は死んだ。ところで……。
 お前は本当に、二番目で良いのか? それで十分? そうか。なら良いんだ。愛なんて所詮、そんなもんだよな。最高の愛こそ永遠なんて叶わねぇ。これからよろしくな、このブス女。