教室の時計とにらめっこを続けて結構な時間が経った。でも、見れば見るほど、時間は長く感じる。教科書とノートは一応広げてるけど、見ちゃいない。
ただ携帯プレイヤーで音楽を聴いて過ごすだけの授業時間は、とてつもなく無駄に感じる。つーか、無駄。
 最近ストレスが溜まっててしょうがない。苛立ちが常に頭にある。そのストレスの原因は、大人。
 周りの大人たちがうざくてうざくて今にも蹴飛ばしたいくらいである。特に学校の先生は大嫌い。
 先生という職業は社会性が無い奴らが多すぎる。自分の考えが全て正しいと思ってる。だから何言っても無駄。あぁ、本当に苛々する!
 やっと授業が終わると、私は教室を出てトイレに入り、ブレザーの内ポケットからタバコとライターを取り出す。そういえばこのジッポのライターって、
中一の頃に遊びで付き合ってあげてた男にもらったんだっけ。中一の女にジッポをプレゼントするなんて、バカな奴。この学校のトイレは火災報知器は無いので、吸っても大丈夫。バレる事は無い。
 早いペースで吸い、口の中が辛さで満たされ始めたとき、タバコは水で流した。
 次の授業は音楽だ。私は教室へ戻った。

「可奈子!」
 と、教室に入るなり友人の栗山里奈が私を呼んだ。
「何? 里奈」
「あのさぁ……って、アンタちょっとタバコの匂いするよ」
「大丈夫だって。そんな強烈に匂うわけじゃないでしょ」
「アンタがいいならいいけどね。あ、可奈子。今日ってリコーダーのテストだよね?」
 菓子パンを両手で持ち、ゆっくりと噛みながら里奈は喋っている。
「うん。練習した?」
「私練習するの忘れてた。面倒くさいから、リコーダー忘れた事にしようかな」
「いいんじゃない? ま、私は音楽得意だから、練習してなくても出来るけどね」」
「うっわ。マジでそれムカツク」
 栗山里奈は、私の大事な親友だ。今日も普通にこうやって雑談出来る事を嬉しく思うよ。私が楽しいと思える時間は、友達と一緒にいる時だけ。

 二人で音楽室に入る。男子が走り回っててうざい。
「ねぇ、可奈子」
「なぁに」
「なんかピアノで曲弾いて」
 私の自慢のピアノを聴きたいとは、里奈、アンタ偉いじゃないか。私は何曲か、里奈の好きな曲を弾いてあげた。
「可奈子はやっぱ凄いねぇ。うまいよ」
 後ろから私の背中を思い切り叩き、私の横に回り込んで、下から上目遣いで私を見てくる。
「あったりまえ! 私はピアノを八年やってたんだよ。これぐらい、出来て当然」
 その時、準備室から私の大嫌いな音楽の先生出てきやがった。眼鏡をかけたかなり太った女の先生。私は間違ってもあんな醜い女にはならないと誓っている。私は死ぬまで、女を捨てたくは無い。
「おい、佐伯」
「何よ?」
「くだらない事やってないで、おとなしく席に座って待つ事は出来ないの? 勝手にピアノに触るんじゃないよ」
「相変わらず意味不明だし。休憩時間にピアノちょっと弾いたぐらいで怒る先生がどこにいるのよ。あぁ、ここにいるか。もう少しさ、フレンドリーに生徒と接する事は出来ないのかな? うぜぇから」
「なにその態度! アンタ何様よ」
「お前こそ、何様だよ」
 あぁ、めんどくせ。先生も先生だけど、まぁ私も私だよね。いやでも、黙っておとなしくてるのはなんか嫌だ。私はまだ中三だし、なにが良くてなにがダメでなにが正しいか、判断できない。
 ここで強く出てしまうのは、ダメだろう。でも、それが本当にダメだとは、私は思わない! 良いとかダメとか、そういう問題じゃない気もする。
「もうちょっと、良い態度出来ないの?」
 みんなが私と先生をじっと見ている。ほとんどの人が、くすくす笑ってる。
「出来るよ。出来るけどお前には出来ない。お前なんか先生として認めるもんか。つーか、アンタ嫌われてるしね!」
 このアホがキレようとした時、チャイムが鳴ったので面倒な事にはならなかった。生徒の好き嫌いで評価をつけるやつが教師? 笑わせるなアホ。特に男子生徒にはかなり甘くつける。なんだこいつ、男にうえてるのか。
 さて、何があろうともくだらない五十分が始まる。私の人生は残り百年も二百年も無いんだから、もう少し有意義に無駄なく過ごしたいものだ。
一度限りの佐伯可奈子の人生を、なるべく嫌な事を避けながら、笑いながら楽しく過ごしたい。
 授業はリコーダーのテストだけで終わった。結構うまく吹けたけど、どうせ私に点数なんかくれないんだろうな。あいつが私に点数をくれる訳が無い。バカらしいよ、本当。リコーダー、砕いてやろうか。
 教室に戻り、短い帰りの会を終えると、後ろから背中をとんとんと叩かれた。
「可奈子。音楽の時間、災難だったね」
 里奈が、頭を掻きながらちょっと呆れ顔でそう声をかけてきた。
「別に。どうでもいいって感じ」
「たまには可奈子も大人になってやったら? 点数もらえなくて損するよ。四教科で内心落とすの、なんか悔しくない?」
 言えてる。私は公立の南平和高校が第一志望。学力は札幌でかなり下の方だけど、更に更に底辺の私立校である香蓮高校とかには絶対行きたくない。
でも、公立落ちたら私立に行くしかない。となると、私立の第一志望は香蓮高校になる。私立は一部の高校を除いて、どこも圧倒的に学力が低いし、香蓮は評判も最悪。でも、近場の私立は香蓮しかない。
 それに、私はバカだけど、受験生の今年、必死こいて勉強したらなんとか五教科はほぼオール三にまではこぎつけた。あんなアホ高になんて、誰が行くかよ。行くぐらいなら中卒でいい。
「まぁいいや。さっさと帰ろうか」
 私は里奈と一緒に教室を出る。玄関で靴を履き替えて、近くの空き地に止めていたチャリに跨り、一気に駆け出す。風が凄く気持ち良い。あぁ、この開放感! 私はどこに向かってるんだろう。どこへ飛べるんだろう?

「里奈、片岡さんとこ行こう」
「うん。いいよ」
 片岡商店。学校から自転車で三分くらいの所にある。香蓮中の生徒が、学校帰りよく寄り道していく場所だ。
 私と里奈は商店に入った。懐かしい匂い。その懐かしい匂いは、どこで嗅いだかはわからないけど。
「どうもー!」
 元気良く挨拶。これ基本事項。
「あら、いらっしゃい」
 こちらに見えるお方は、片岡商店の経営者、片岡高志の娘さんの、片岡理沙子さん。二十四歳独身。男子の憧れ。
職業はイラスト関係に就いているんだけど、たまーに店のお手伝いをしている。理沙子さんは今日も綺麗だなぁ。
 私はコーヒーとカレーコロッケとマガジンを手に取り、お金を払う。すると、漫画雑誌を見て、里奈が苦笑いしてきた。
「可奈、漫画好きねぇ」
 里奈は、屈託の無い笑顔で私を見ながら、そう言った。
「活字も好きだけど、漫画は止められない」
「私は活字好きだけどなぁ。文庫本なら三百冊はあるよ。小説の方が、面白いって」
「それはそれで凄いね……」
 里奈の家の本棚は、始めて見た時は驚いたなぁ。凄まじい本の数だった。
「別に凄くはないよ。それはいいとして、私もコーヒー買うかな」
「貴方達、あんまり買い食いしてお金尽きないようにしなさいよ」
 と、心配してくれる理沙子さん。そして会計の時に、おまけに駄菓子をくれる理沙子さん。大好き。お嫁さんに欲しい。
 店を出て、またチャリこいで五分ぐらいした所に公園がある。公園の階段を登ると、坂の上の住宅地に出る。
私と里奈は公園にチャリを置いて、階段を登ってその住宅地に出る。出た所には、上品なベンチとテーブルと自販機がある。
 ここは私達の雑談の聖地。
「学校、しんどいね」
 なんとなく出た言葉。
「うん、しんどい」
 里奈はコーヒーをほんの少し飲んで、同意の言葉をくれた。
「学校の先生全員嫌いだわ。自己中だし言い分けばかりするし無知だし」
「それいつも言ってるじゃない。まぁ正しいけど」
「最近の若者はすぐキレるとか、最近の若者はなっとらんとかいうけどさ、実際自分の都合が悪くなるとキレてごまかしたり、ダメな事をしているのは先生じゃない。
つーか、信じられない事件起こすのも大人。私ら子供から言わせれば、最近の大人が一番キレたら何するかわからないし、なっとらん!」
 私がそう言うと、里奈はぷっと吹き出した。
「そうそう、先生が悪い立場にあって、生徒に図星つかれたらキレだすしね。あぁ、怖い怖い。大人は嫌だねぇ」
「最近の先生こそしっかりしないとダメなのにねぇ。なのに最近の子供はダメだとか、アホか。自分はどうなんだよって」
「うんうん。それに教師って、社会性がないよね。子供たちに囲まれて人生を生きてるから、謝るって事を知らないのよ」
「だよねぇ。ていうか、ストレス溜まるわ。ねぇ里奈、久しぶりに飲もうよ」
「そうね。じゃあ、あの店で酒でも買おうか」
 未成年でもビール買える店を、私達は知っている。
 階段を下り、チャリに乗って十分ぐらい進むとそこにその店はある。適当に焼酎とつまみを買う。そしてそのままカラオケへ行く。近くのカラオケに行くと、空いてたのですぐに部屋に案内された。
 部屋に入るなり、鞄から先ほど買った酒とつまみを取り出し、酒盛りは始まるのだ。
 さて、酒とカラオケで、ストレス発散だ。その後三時間ぐらい歌って店を出る。帰り道の途中で里奈と別れる。あぁ、一人になっちゃった。

 翌日、昼の十二時に私は起きた。今日は里奈と遊ぶんだ! 私は大型スーパーへと足を向けた。行くと、もう里奈がいた。
「里奈!」
 私は小走りで里奈に駆け寄る。
「可奈子遅い! 全く、寝過ごしたの?」
 ビシッと人差し指を私に向ける。ごめんなさい。
「ごめん、里奈」
「まぁいいよ。修也も来てないし……。って、来た来た」
「ごめん、遅くなった」
 黒崎修也。中学一年の秋頃に知り合った人。たまに遊ぶ友達で、普通の人。ほんとーに普通なのだ。顔も頭も運動神経も性格も普通。つーか、あんまり黒崎の事は知らん。
「黒崎。久しぶり」
「あぁ、そうだな。んじゃ行こうか」
 今日は暇なので店うろつこう、って事。私達三人は、最初はただ色んなもの見たり、ゲーセンで遊んだりして楽しんでた。
 で、こういう事に遭遇するのは二回目になるんだけど……。三人で、本屋で本を立ち読みしてたら、黒崎がやっちまった。
 万引き。今時 万引きぐらいでビックリする奴はいないだろう。うちのクラスは三七人いるけど、私の知ってるだけでも半分はいる。
 これを聞いたら、あんまり万引きとかそういう悪い事に縁の無い環境にいる人は驚くかもしれないし、信じないかもしれない。
でもね、これ事実。それにね、クラスの半分が万引きしてる事は、そんなに驚くことでもない。少なくとも、私の中学は本当にそうなんだ。万引きをやってる知り合いは沢山知ってる。
 私達が店を出たとき、後ろから来た私服警備員が黒崎の肩を思い切り掴み、あっさりと連れて行かれた。
そして他の私服警備員に「こんな奴とつるむんじゃない」と言われた。つるむかつるまないかは私達の勝手じゃん。
 黒崎は親呼ばれて警察呼ばれて、夕方に家に帰れたそうな。学校には連絡が行かなかったので、不幸中の幸いかな。
万引きをしたからと言って、絶対に学校に連絡が行くことはない。連絡されるかされないかは、私服警備員と店長次第。つまり運だね。
なんかテンションが下がったから、私と里奈は五時ぐらいになった頃には、もう家に帰っていた。暇だし、ゲームでもしよう。レベルを上げて、あのボスを唸れ鉄拳、吹き出せ魔法で倒してやるんだ。

 いつもと同じように学校に通いつづけ、特に嫌なことなく普通に過ごしていた。でも、今日はキレちゃった。最近の若者はすぐキレる? そんなの知らない。これがキレずにいられるかー!
 二時間目が終わった後の休み時間に、トイレの床にタバコの吸殻が落ちてた。で、何故かそれが私のせいにされた。
 今日は吸って無い。今は三時間目が終わった直後だ。四時間目が終わったら吸おうと思ってたんだ。
 私がタバコ吸ってるのは一部の人間が知っているので、誰かが「多分犯人佐伯です! あいつタバコ吸ってますから!」とか言ったんだろう。うっわマジうざいんですけど。で、私は校内放送で職員室に呼ばれた。
「佐伯。単刀直入に聞く。タバコ、トイレで吸ったか?」
「いや吸ってないです。よく証拠もなしにそんな事言えますね」
「でもな、授業中は音楽聞くし携帯いじるし手紙は書くし、挙句の果てにはふんぞり返った凄い体制で寝るし」
「で?」
「そういう奴は第一に疑うもんだろ。それに、タバコ吸うなら佐伯が一番怪しいと、一部の生徒が言ってたぞ」
 そんな理由かよ!
「ちょっと待てよ。そんな理由で私を疑ってるの? そんなバカな話があるか」
 色々とめんどいから、私に押し付けてるんじゃないか? 
「でもな、お前はタバコを吸ってるんだろう? 早く白状しなさい。今言えば、親に言わないから」
 こんな……。こんな理不尽すぎる事はあるだろうか? あまりにも教師が憎すぎる。どうしようもないこの理不尽さ。証拠も無しに、私を犯人にしようとしている。でも、しょうがない。
「タバコは吸ってるよ」
「ほら、動かぬ証拠じゃないか」
 口から出た事は証拠とは言わないんじゃないか。何が動かぬ証拠だよ。アホ。
「あのですね、私がタバコ吸ってるからって、今回の事件の犯人にするのは無理があるでしょ」
 ちくしょう。人権はどうした。フランス人権宣言はどうなった? 学校には人権なんか無いんだ。私はそう思った。
「いや、でもな。他に吸ってるやつは知らないぞ」
 知らないからって、私を犯人扱いするのかよ! ある意味感動さえ覚えてきた。
「いやだからですね、あのタバコが私のだって証拠は無いじゃないですか。いいですか、もう一回言いますよ。私のだって証拠が無いですよ?」
「だから、お前なんだろう!」
 言っておこう。私の堪忍袋は、全く丈夫じゃないぞ。
「だから吸ってねぇって! 証拠も無しに私のせいにすんなよアホが!」
「そんな言葉遣いする奴なんだろ、お前は?」
 うわ、私がキレても冷静に返してきやがる。
「だから違うつってんだろ。私じゃない。証拠もなにも無いのに決め付けるな」
「タバコを未成年のうちから吸う奴は、性格の悪い奴なんだよ」
 こういう大人は、世の中から消えて欲しいと心から願う。勝手に物事を決める大人はさっさと消えろ。
もう、こんな奴と話しても無駄だ、と思える程私は大人じゃない。だって、私は今回の事に関係無い! なのにあのタバコの持ち主は私になってる。
誰だか知らないけど、その誰かのせいで私は犯人扱い。んでここまで悪口言われて。こんな事あっていい? よくないよ。こういうのは、あっちゃいけない。私は、引き下がらない。
……って、もうなんだよ。バカだ。今の勢いが全て無くなった。力が消えた。
「ていうか、二時間目の休憩時間、友達と一緒にいたんですけど」
 私の、バカー! それ真っ先に言えばよかった。
 その後、先生達の聞き込みにより、私の誤解は解けた。やれやれ。でも、私の気持ちが収まるはずがない。私は昼休み、職員室に押しかけた。
「どうした、佐伯。まだ何か文句があんのか?」
 文句? こいつは何を言ってるんだ。
「しろよ」
「何をだ?」
「謝罪を、しろ」
「謝罪なんかする訳ないだろ」」
「ちょっと待てよ。謝罪無しってどういう事さ」
 そこまでして、先生という生き物は生徒に謝りたくないのか。もう、いいや。私が大人になればいいんでしょ。もう、何も言わないよ。
この先生は、頭がかなり残念だ。今の世の中、こういう意味不明な教師はゴロゴロといる。困ったもんだ。あぁ嘆かわしい!
 私は、無言で職員室を出た。

 教室に戻ると、里奈がたかたかと駆け寄ってきた。
「かーなーこ!」
「なーにー?」
 里奈は手にもっていた小さいパンを私の口に押し込む。
「アンタは小学生か! 止めなさいって」
「ね、先生どうだった?」
「もうね、悲惨。言いたくも無いわ」
 里奈はうーんと唸り、言った。
「バカは、放っておくのが一番だと思わない?」
「当然よ」
 そして四時間目の授業が始まった。最悪なことに私を疑いやがったバカ教師。しばらくは普通に授業をやっていたが、先生は私を当てた。
「おい、佐伯。この問題やってみれ」
 黒板を見ると、なんか数字が沢山並んでた。よく見ると、問題が三つあって……。まさか、目を疑った。佐伯可奈子の文字が、七つもあるんですけど?
「先生、これ全部ですか?」
「そうだ。先生はな、お前のためを思ってるんだ。数学、苦手だろ?」
「先生。これはいじめですか。もしくは精神的ダメージを与える虐待ですか。明らかに私に対する嫌がらせでしょ。お前の思考回路、本当にガキだね」
「お前、言葉の使い方に気をつけろよ」
 皆、私を見てる。これじゃあ私、さらし者じゃないか。
「出来ないのか、佐伯?」
 私は思い切り立ち上がって、鞄を持って教室の外に出た。今日はもう帰る。
 サボった帰り道で感じたものは、怒りと、憎しみと、虚しさだった。学校は、やっぱり最悪な居場所だ。
 ブレザーのポケットからタバコを出し、一本吸う。私のタバコはもう公認なんでしょ。先生に見られた所でだから何って感じだ。
 当分学校は休もうかな。いや、あの先生のせいで学校をずっと休むのはそれはそれでなんかなぁ。
あぁ、もう。このやるせなさはどこにぶつければいいのかしら。電柱? 怪我するっての。家に帰ってクッションでも投げるか。そんなんで私の怒りは収まらない。

 次の日、私は昼頃起きて、学校で授業を受けている里奈とメール。メールも途絶えてきた頃には、漫画を読む。そして気づけば夕方。
なんか無駄に過ごした、空っぽの一日だなぁ。このまま空っぽなままは嫌だから、何か埋めなければ、私の人生は少なからずとも無駄になる。
無駄はもったいない。なので何か行動に移そう。なので、近所の本屋に行った。適当に立ち読みしてると、最悪。見回り中のアホ先生がいる。
私を犯人扱いして、謝罪しなくて、授業中に私をいじめる先生。なんで、どうしているんだよ……。
 しかも、私に気づいて近づいてきた。
「なんだ、佐伯。漫画立ち読みなんかして。どうせ読むなら参考書を読め」
「うるさい」
「全く……。そうだ、今日三年でシンナーをやってる奴がいてな。佐伯も、やっているんなら止めろよ」
 やってないんですけど。確かに佐伯可奈子はタバコ吸ってるという事実はあるけども、だからってどうしてこういう事を言われなければならないのだろう。
 こういう理不尽な事は、あっちゃいけないんだ。

 私は、ポケットからタバコとライターを取り出し、タバコに火をつけて、思い切りこのアホ野郎の顔に煙を吹き付けてやった。
 でも、その行為にはなんの意味も無い。
 私の心に残るのは、虚しさだけ。私はどうすればいいんだろう。全くわからない。でも、まず私が成長しないとダメなんだろうな。そう思う。